獣医学研究科 動物介在療法公開シンポジウム

“イヌを介在動物とした動物介在療法における獣医学研究の役割”



【シンポジウム開催に当たって】
                         岩手大学大学院獣医学研究科
                               研究科長 宇塚 雄次 

 このたびは、これまでの獣医学研究科において取り組んでまいりました動物介在療法に対して、さらに研究科として深く踏み込むために、「イヌを介在動物とした動物介在療法における獣医学研究の役割」として、公開シンポジウムを開催することといたしました。
 これまで、岩手大学にあっては、東日本大震災を機に被災地の援助活動の一環として、岩手県獣医師会などと連携しながら、伴侶動物を活用した“被災者の心の癒し”に対する支援活動を行なってきました。被災者支援の一つの方法として人に対する動物の癒し効果を感じ取ることで、動物介在療法の重要性を学科として実感しました。そこで、震災復興の取り組みの発展として動物介在療法を獣医学研究科としても普及、啓発できないかということで、これまで数年にわたり動物介在療法について調査してまいりました。
 最初に国内、海外において動物介在療法の現地調査を行い、その中でまずは簡単な現状認識と問題点の洗い出しから始めました。次に医学領域で実践されている先生方のお話をお伺いし、その後自分たちの関わっていくことが可能な面、困難な点などを整理しました。さらに研究科としてのさらなる対応のために、複数の教員によって、動物介在療法の先進地である英国と豪州の獣医科大学に視察に行きました。これによって、日本において行なっていくべき動物介在療法とはどんなものなのかを少しずつイメージを作成してきました。さらに研究科においても「人の動物の関係」について、所属大学院生に考えてもらう機会を作るために、講義資料も作成しました。
 今回は、改めて原点に立ち返って、獣医師がどのように動物介在療法に関わっていくことができるのかを考えてみたいと思います。また動物介在療法における介在動物に対する獣医学的なフォローをどのように行うべきかを検討することも今後の課題と思われます。そこで、犬を用いて動物介在療法を実施している獣医師の先生方からお話を伺い、今後獣医学研究科として何を行なって、どこを補っていくべきなのかを再検討する機会としてシンポジウムを企画しました。講師は学会での活動のみならず、多くのメディアに出演、ご活躍されている麻布大学の菊水健史先生にお願いしております。また、菊水先生同様にイヌの社会性について研究し、ヒトとイヌの絆について調査している長澤美保先生にもご講演をお願いしております。今回のシンポジウムが我々のさらに豊かな社会生活につながるものと信じておりますので、是非最後までお付き合いいただけるようお願いして、挨拶とさせていただきます。

【目的】
 動物介在療法は、病気の人の治療をサポートする「処方」として医療において取り入れられてきています。動物介在療法では動物を利用しているにもかかわらず、今のところ獣医師の介入はほとんどなく、また介在動物に関する獣医学的な研究もほとんど行われていません。介在動物としてどのような特性、性質が必要かなどは解析を行い、介在動物に適した動物種、品種などが利用されることが望まれます。また、介在動物が受けるストレスの解析や、健康のケアなどについても獣医学的な解析、介入がなされることが期待されています。このため、獣医学的視点からの動物介在療法ならびに介在動物に関する研究が必要とされています。以上のことから、本シンポジウムではイヌを中心として動物介在療法に関する獣医学研究を実践されている専門家にご講演をいただき、討論を行います。

【開催要領】
日時: 2021年9月21日(火)

場所: 岩手大学農学部 ぽらんホールおよび7番講義室
     オンライン開催
      *オンラインのみの開催となりました。

内容: 
  ・ 獣医師向け講演9:00-12:00 (各講演70分)

  (1)「イヌの家畜化に見る遺伝―文化の相互作用」

     講師 菊水健史 先生
         麻布大学獣医学部動物応用科学科介在動物学研究室・教授
         ヒトと動物の共生科学センター・センター長
 

  (2)「イヌはなぜヒトの『最良の友』になったのか?
     〜社会認知、絆形成、介在動物としての可能性」

      講師  永澤美保 先生
          麻布大学獣医学部動物応用科学科介在動物学研究室・講師
 

 2.一般向け講演 13:30-14:45 (講演60分)
  (1)「ヒトとイヌの共生」
      講師 菊水健史 先生 (麻布大学獣医学部・教授)

講演要旨はこちら!

【参加お申し込み】
 オンライン参加をご希望される方は以下の方法でお申し込みください。
 ・獣医師のみなさまは午前の公演からご参加いただけます。
  (一般の方も聴講は可能ですが、専門用語なども使用しますのでご了承ください)
 ・一般の方、学生の皆様は午後の一般公演にご参加ください。

 午前の部:獣医師向け講演申し込み

・以下のURLにアクセス(「登録」ボタンから登録できます)あるいはQRコードを読み取って、登録をお願いします。 
  午後の部:一般向け講演申し込み

・以下のURLにアクセス(「登録」ボタンから登録できます)あるいはQRコードを読み取って、登録をお願いします。
 https://iwate-univ.webex.com/iwate-univ/onstage/g.php?MTID=e7e7dc4777b3277651145c59b65c986b2  https://iwate-univ.webex.com/iwate-univ/onstage/g.php?MTID=eed218985b7f0b1c6375ccea9fe41e89f
   

【お問い合わせ】
      岩手大学大学院獣医学研究科 動物介在療法シンポジウム事務局
        佐々木敬規(岩手大学農学部地域連携推進室)
        山﨑真大(小動物病態診断学研究室)
         kaizai@iwate-u.ac.jp

 →岩手大学大学院獣医学研究科のホームページはこちら